法改正・判例等の情報

2014年11月
2014年9月
2013年2月

平成26年法改正について  そのA

☆異議申立制度が新設されます☆

平成15(2003)年の特許法改正によって、旧異議申立制度と無効審判制度が統合されたことにつきましては、ご記憶の方も多いと思いますが、平成26(2014)年改正により、再び異議申立制度が創設されることになりました。

一旦は廃止された異議申立制度が再び創設されることになった背景として、異議申立制度が廃止された平成16(2004)年以降も、無効審判の件数が増加しなかったこと、旧異議申立制度と無効審判制度の統合に伴い、何人も無効審判を請求できるようになっていたため、特許権者にとっては、権利を得たにもかかわらず、いつ、誰から無効の主張を受けるかわからない期間が半永久的に続くことになり、権利の不安定化につながる面があったこと、平成24年度産業財産権制度問題調査研究「安定的な権利付与に向けた制度に関する調査研究」(一般財団法人知的財産研究所)によると、特許権を見直すための新たな機会の必要性についてアンケートを行ったところ、新しい機会が必要と回答した企業が全体の67.6%で、新しい機会も制度の変更も不要と回答した企業(全体の31.5%)、どちらともいえないと回答した企業(全体の0.9%)を大きく上回ったことなどが挙げられます。

では、新しい異議申立制度はどのようなものなのでしょう?旧異議申立制度とはどこが違うのでしょう?また、無効審判制度には変更はあるのでしょうか?

何人も、特許公報発行から6月以内に限り、以下のいずれかに該当することを理由として、特許庁長官に対し、特許異議の申立てをすることができるようになります(第113条)。

●明細書、請求の範囲、図面についての補正が、願書に最初に添付した明細書、請求の範囲、図面に記載した事項の範囲内においてされていない場合(第17条の2第3項違反

●外国人は条約等で権利の享有が認められている場合を除き特許権その他特許に関する権利を享有することができないという、第25条違反

●産業上利用することができる発明に該当しない、新規性、進歩性がない場合(第29条)

●先願の出願書類に記載されていた発明を請求する、先願の公開前に出願された後願に係る発明に誤って特許権が与えられてしまった場合(第29条の2違反)

●公序良俗違反(第32条)

●後願に係る発明に誤って特許権が与えられてしまった場合(第39条第1項、2項、3項、4項違反)

●条約違反

●明細書における発明の開示義務違反(第36条第4項第1号)

●特許を受けようとする発明が明細書に記載したものでない、明確でない、請求項ごとの記載が簡潔でない場合(第36条第6項第1号、第2号、第3号)

●外国語書面出願に係る特許の明細書等に記載した事項が、外国語書面に記載した事項の範囲内にない場合

♪旧異議申立制度との違い

申立書の要旨変更が可能な期間が短縮されます。

旧制度では、特許異議の申立をした場合、申立期間内(公報発行から6月以内)であれば、取消理由通知の有無にかかわらず、申立書の要旨を変更することが可能でした。

これに対し新制度では、異議申立をした場合、申立期間内に取消理由通知がなければ、申立期間の間は申立書の要旨を変更することが可能であるが、申立期間内に取消理由通知があった場合、以降は申立書の要旨を変更することができなくなります(第115条第2項)。審理の効率化を図ろうとするものです。

全件書面審理になります。

旧制度では、原則書面審理ではあったものの、特許権者等の申立て、又は職権で口頭審理にすることもできました。

これに対し、新制度では、全件書面審理になります(第118条1項)。

平成24年度産業財産権制度問題調査研究「安定的な権利付与に向けた制度に関する調査研究」(一般財団法人知的財産研究所)のアンケートによると、自社事業に関連性が強い他者の特許に無効理由を発見したにもかかわらず、特許無効審判の利用を躊躇したりあきらめようと思ったことのある事業者のうち、その理由として、当事者として手続する負担が大きいという理由を挙げた企業が32.6%、口頭審理の負担が大きいという理由を挙げた企業が17.3%となっています。全件書面審理とすることで異議申立人にとって利用しやすい制度となると思われます。
異議申立人に意見書提出機会が付与されます。

旧異議申立制度では、異議申立人には審理中に意見を述べる機会が十分には保証されていませんでした。これに対し不満があり、手続への積極的関与を求める要請が高まったことも、平成15(2003)年の特許法改正によって、旧異議申立制度と無効審判制度が統合された一因となりました。

そこで、新制度では、特許権者による訂正請求があった場合には、異議申立人にもこれに対する意見書提出が認められることになります(第120条の5第5項)。制度の利便性向上を図ろうとするものです。

♪無効審判制度の変更
無効審判の請求人は利害関係人のみに限られることになりました(第123条第2項)。

これにより権利の早期安定化を図ろうとするものです。

※これらの規定は、改正法の施行日以降に特許公報が発行された特許権について適用されます(附則第2条第16項)。

 

次回は意匠法の改正について説明させて頂きます。