法改正・判例等の情報

平成26年法改正について  その@

平成26年5月14日に公布された平成26年の法改正についてご説明させて頂きます。今回は救済措置の拡充についてです。

震災や病気等、手続をする者の責めに帰することができない事由が生じたときは、その手続期間を一定の期間に限り延長することができるようになります。

現行制度では災害発生時等に逐一、政令指定手続が必要であり、また、海外での災害には適応しておらず、病気等災害以外の不責事由が発生した際に期間延長できない場合があります。

東日本大震災の際には、地震発生直後の2011年3月13日に、「特定災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」に基づき、東日本大震災を「特定非常災害」として政令指定し、その後、政府全体として、特許法も含めた我が国法律上の手続期間について必要な延長措置を講じました。

また、欧米や中国、韓国等の諸外国においては、災害時における救済制度が既に個別法において整備されており、東日本大震災時にも各国の法制度に基づく救済措置が適用されました。

さらに、特許手続の統一化・簡素化を目的とする「特許法条約」(2005年4月に発効)の締約国(我が国は未加入)においては、同条約に則り、災害等のやむを得ない事由が生じた場合の救済制度その他の制度利用者の利便性向上に資する措置が広く整備されています。

(特許庁説明会資料より)

具体的には、

● 発明(考案、意匠)の新規性喪失の例外の証明書を提出する者がその責めに帰することができない理由により、出願日から30日以内にその証明書を提出することが出来ない場合には、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては2カ月)以内で出願から30日経過後6カ月以内にその証明書を特許庁長官に提出できるようになります(特30条4項、実11条、意4条4項)。

● 国内優先権主張を伴う特許出願又は実用新案登録出願(特41条)等及びパリ条約による優先権主張(特43条)等を伴う出願について、その優先期間内(先の出願から1年以内)に後の出願をすることができなかったことに正当な理由があるときは、経済産業省例で定める期間内に限り当該優先権の主張をすることができるようになります(特41条1項1号、実8条1項1号、43条の2、実、実11条)。

● 国内優先権主張を伴う特許出願又は実用新案登録出願(特41条、実8条)及びパリ条約による優先権主張(特43条)等を伴う出願について、優先権を主張しようとする者は、その旨及び先の出願の表示を記載した書面を経済産業省令で定める期間内(現行法では出願と同時)に提出できるようになりました(特41条4項、特43条1項、実8条、実11条)。意匠法と商標法には同様の改正は行われません。
● 国内優先権主張を伴う特許出願又は実用新案登録出願(特41条)等及びパリ条約による優先権主張(特43条)等を伴う出願について、経済産業省令で定める期間内に優先権主張書面の補正ができるようになりました(特17条の4、実2条の2)。意匠法と商標法には同様の改正は行われません。

● パリ条約による優先権主張(特43条)等を伴う出願について、優先権証明書を提出する者が、その責めに帰することができない理由により、優先権証明書提出期間(最先の出願の日から1年4月以内)に優先権証明書を提出することができないときは、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては、2月)以内でその期間経過後6月以内に提出できるようになります(特43条6項、実11条)。

● 分割出願をする者が、その責めに帰することができない理由により、明細書等の補正可能期間内(特44条1項1号)又は登録査定の謄本送達日から30日以内(特44条1項2号)内に分割出願をすることができないときは、その理由がなくなった日から14日(在外者にあっては、2月)以内で期間経過後6月以内に分割出願をすることができるようになります(特44条7項、実11条)。

● 実用新案登録出願から特許出願に出願変更する者が、その責めに帰することができない理由により、実用新案登録出願から3年以内に、その出願の変更をすることができなときは、その理由がなくなった日から14日以内(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に出願の変更ができるようになります(特46条)。

● 意匠登録出願から特許出願に出願変更する者が、その責めに帰することができない理由により、拒絶すべき旨の最初の査定の送達があった日から3月以内又は意匠登録出願の日から3年以内に、その出願の変更をすることができなときは、その理由がなくなった日から14日以内(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に出願の変更ができるようになります(特46条5項)。

● 特許出願審査請求期間(出願から3年又は、分割、変更、実用新案登録に基づく特許出願の日から30日)以内に審査請求がなされずに、取り下げられたものと看做された特許出願の出願人は、審査請求できなかったことにつき正当な理由があるときは、その理由がなくなった日から2月以内で審査請求期間経過後1年以内に限り出願審査の請求をすることができるようになります(特48条の3 5項、7項)。なお、当該特許出願について特許権の設定の登録があったときは、当該請求があったときは当該請求期間の徒過について記載した特許公報の発行後から当該請求について記載した特許公報の発行前までの間に、当該特許出願に係る発明の実施を行った第三者は、当該特許権について通常実施権を有するものとされます(特48条の3 8項)。

● 特許権の存続期間の延長登録の出願をしようとする者が、その責めに帰することができない理由により、政令で定める期間内に願書を提出することができないときは、その理由がなくなった日から14日以内(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後2月以内に願書を提出することができるようになります(特67条の2の2)。

● 第1年から第3年までの特許料を納付する者が、その責めに帰することができない理由により、査定又は審決の送達があった日から30日以内に特許料を納付することができないときは、その理由がなくなった日から14日以内(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に、特許料を納付することができるようになります(108条4項)。実用新案登録及び意匠登録の第1年から第3年までの登録料の納付期限についても、商標の登録査定又は審決の謄本送達後30日以内に納付すべき登録料の納付期限(防護標章登録の場合も含む)についても、その責めに帰することができない理由により納付できないときは、その理由がなくなった日から14日以内(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に、登録料を納付することができるようになります(実32条4項、意43条4項、商41条4項、65条の8)。

● 既納の特許料(登録料(商標の防護標章登録の場合も含む)の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により、返還請求が可能な期間内に返還請求をすることができないときは、その理由がなくなった日から14日以内(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に、返還請求をすることができるようになります(特111条3項、実34条3項、意45条、商42条、65条の10 3項)。

● 各種手数料の返還を請求する者が、その責めに帰することができない理由により、放棄・取下げの日から6月(過誤納の手数料は納付した日から1年)以内に返還請求をすることができないときは、その理由がなくなった日から14日以内(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に、返還請求をすることができるようになります(特195条13項、実54条の2 12項、意67条9項、商76条9項)。

● 商標登録出願について出願時の特例の適用を受けるために、その商標登録出願に係る商標及び商品又は役務が政府等が開設する博覧会等に出品した商標及び商品又は役務であることを証明する書面を提出する者が、その責めに帰することができない理由により出願日から30日以内に証明書を提出することができないときは、その理由がなくなった日から14日以内(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に、該証明書を提出することができるようになります(商9条3項)。

● 国際登録の取消の後の商標登録出願をする者が、その責めに帰することができない理由により、国際登録が取り消された日から3月以内に、その出願をすることができないときは、その理由がなくなった日から14日以内(在外者にあっては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に、その出願をすることができるようになります(商68条の32 6項)。

次回は特許異議の申立制度について説明させて頂きます。